アクセシビリティ
更新日時: 2026/03/05
没入型のプラットフォームを正しく活用することで、アクセシビリティを大きく改善することができます。
障がいのある方も、他の人の存在を感じたり、ハプティクスや没入型のサウンドを楽しんだり、バーチャル空間を簡単に移動したり、会話のライブキャプションを読んだりすることができます。空間技術により、視野欠損や遠視などを抱える人々に視力矯正機能を提供することもできます。
また、障がいは必ずしも恒久的なものではなく、一時的であったり状況によって変わったりすることもあります。例えば、腕を骨折してしまった人が、治療中に友達と没入型のゲームで遊びたいというケースなど。没入型エクスペリエンスでは、アクセシビリティに関するソリューションは2Dデバイスほど発展していませんが、そのことが却ってデザイナーや開発者にとって大きなイノベーションのチャンスとなります。
障がいには視覚障がい、聴覚障がい、発話障がい、動作障がい、認知障がいという5つのグループがあります。該当するグループを以下のアイコンで各セクションに示しています。
誰もが利用できる没入型エクスペリエンスを構築する際には、以下の原則を考慮するとよいでしょう。
障がいのある方に配慮しながら研究、設計、開発を進める
設計プロセスの最初の段階から、障がいのある方について考慮するようにしましょう。誰もが主体的に楽しみ、安全にプレイできるエクスペリエンスを構築するには、さまざまな障がいをもつ多様な人々に配慮することが不可欠です。
助けを得ることなく自分の力で操作できるエクスペリエンスを構築する
初期の段階で利用者がアクセシビリティに関する設定を自分で変更し、以後すべてのアクションを自分に合った方法で実行できるようにすべきです。あらゆる人が、手助けなしでもアプリやエクスペリエンスにアクセスし、利用できるようにしましょう。
障がいをもつ人もそうでない人も、すでに没入型エクスペリエンスを治療目的で利用したり、現実の世界では難しいことや不可能なことを行うために利用したりしています。設計の段階で、障がいのある方にとっての障壁を取り除くだけでなく、新たな価値を創出することを検討しましょう。
コントローラー、音声コマンド、物理的なジェスチャーはいずれも、没入型エクスペリエンスのインタラクションとして有効です。インプットやインタラクションの最適化は障がいのある方のエクスペリエンスを改善するだけでなく、より明確でコントロールしやすいユーザーエクスペリエンスをあらゆる人に提供します。
- シンプルなコントローラースキームを心がける。
- ボタンを押す必要のある回数を減らす。
- 最初の段階で利用者が自分に合った設定を保存できるようにする。
- コントローラーの右手と左手の操作方法を切り替えられるようにする(1台のコントローラーのみを使用する場合も含む)。
- 代替のコントローラー、センサー、キーボードに対応するよう操作方法を変更できるようにする。
- 座った状態、座席をリクライニングした状態、静止した状態のいずれであってもエクスペリエンスを利用できるようにする。
- 可能であれば、視線ターゲットなどのインプット方法を選択できるようにする。
- ボイスアシスタントを導入する。(Voice SDKとwit.aiの使い方を検討する)
- ボタンのハイライトでコントローラーのインプットを表現する。
- 音声とハプティクスフィードバックを提供する。
ヒットターゲットとは、例えば仮想ボタンを押すなどのエクスペリエンスを正確に操作するための方法です。没入型エクスペリエンスでは、利用者の手や体の大きさ、器用さ、動き方の違いを考慮に入れ、その違いに対応できる設計が求められます。
例として、実際には腕を半分までしか伸ばせない利用者でもアバターの腕を完全に伸ばすことができるように、コントローラーの位置を距離の2倍にスケーリングするなどして、インプットを完全に増幅させる場合が挙げられます。
- 使いやすいヒットターゲットのサイズは、22mm x 22mm / 48dp x 48dp / 0.42mで3˚FOV以上です。このサイズにより、ユーザーの指に十分なスペースが確保され、ジェスチャーコントロールが考慮されます。
- インタラクティブ要素が48dpよりも小さい場合は、目に見えないヒットスロップ(タッチによりトリガーされるUI要素の周囲の空間)を追加し、大きさを48dp以上にします。
- 視覚ターゲットはヒットターゲットより小さくすることができますが、視覚ターゲットが小さくなるほど、そのターゲットをヒットしたことが認知しづらくなります。視覚ターゲットは32dp x 32dp以上にすることをおすすめします。
- インターフェイスがインプットアクションを実行するうえで、さまざまな動きや手の器用さを必要とする場合は、インプットを増幅・拡大できる機能を提供します。

推奨事項必要に応じて48dp以上になるよう透明のヒットスロップを追加する。

非推奨事項48dp未満のヒットターゲットを作成する。
アシスト技術には、障がいのあるユーザーを支援するためのハードウェアデバイスやソフトウェア機能も含まれます。このような、没入型エクスペリエンスを誰でも使えるようにするためのツールは、2Dエクスペリエンス向けのものより複雑になり、業界のリソースもまだ発展途上であるため、大きな可能性を秘めた分野であると言えます。キャプションや画面読み上げ機能などの基本的なツールを、空間設計に特有の条件に合わせて開発することに重点を置くようにしましょう。
- サードパーティとの統合やサードパーティ製デバイスにできるだけ対応させる。
- キャプションなど2Dデバイスで利用できるツールを、没入型エクスペリエンスに特有の考慮事項を踏まえて提供できるようにする。
テレビを観るときはいつもキャプションを表示しますか?
そのような人が多数派です。キャプションは、理解力、集中力、情報処理能力を高めることで、本来のターゲットである障がいの枠を超え、さまざまなユーザーにメリットをもたらすため、真の意味での
カーブカット効果をもたらすものと言えるでしょう。多くの人がテキストを通して音声を理解するためにキャプションを利用する一方、聴力に関わらず、周囲の情報をより効果的に処理するためにキャプションを利用する人もいます。
こうしたことは、スペーシャルオーディオが注目すべき場所や話している人を特定する手がかりとなる没入型エクスペリエンスにおいては、特に重要になります。没入型エクスペリエンスにおけるキャプションのニーズは他のデバイスとは異なるため、デザイナーやエンジニアにはソリューションを革新することが求められ、それは多くの場合、いまだ存在しないソリューションを生み出すことを意味します。これまでに確立されたベストプラクティスを以下に示します。このリストは今後も継続的に更新される予定です。没入型エクスペリエンスにおけるキャプションの推奨事項は、業界全体で策定と実施が進められているところです。
- 最初は一番奥までの距離の約半分または1メートルの距離にキャプションを配置し、ユーザーが位置を動かせるようにします。
- キャプションを読むために不自然な動きが必要になったり、画面酔いを引き起こしたりしないよう、キャプションを頭の動きに紐づけるなどのオプションを提供します。
- キャプションはオーバーレイとして常時表示し、空間要素がキャプションを隠してしまうことがないようにします。
- 40度の視野(FOV)の上部または下部にキャプションを配置するようにします。タスクの邪魔にならない、最適な配置を選びましょう。
- キャプションがパーソナルUIにかぶらないようにします。必要に応じて、UIやルームスケール要素の表示を邪魔しないように、キャプションを上か下に段階的に動かします。

推奨事項一番奥までの距離の約半分または1メートルの距離にキャプションを配置し、ユーザーが位置を動かせるようにする。

非推奨事項キャプションをはるか後方に配置する。

推奨事項タスクの邪魔にならないところにキャプションを配置する。

非推奨事項ユーザーのタスクを妨げたり重要な情報を隠したりする。
- キャプションはできる限りリアルタイムの音声と同期させるようにします。
- 読み手が一息つけるよう、小休止を入れます。
- 会話の各単語をリアルタイムで表示していくか、発話された文章全体を表示します。
- 文章は理解しやすい長さで表示します(例: 一度に2~3文)。
- 新しい行を追加する際は、その前に表示されていたキャプションが上方に移動し新しい行がFOV内に現れるようにします。このアニメーションは約0.5秒持続させ、イーズアウトのアニメーションカーブを使います。
- 2つの発話文の間に切れ目がある場合、少なくとも1秒、可能であれば1.5秒の間隔をあけるようにします。それよりも短くすると、効果が損なわれます。その時間をテキストの表示に使える場合は、間隔をあけない方がよいでしょう。
- 発話なしに1.5秒が経過し、表示すべき新しいテキストがある場合は、新しい行を追加します。
- キャプションは、誰が話しているかが明確に分かるように表示します。通常、5人以上の会話のキャプションは非常に煩雑になるため推奨されません。
- エクスペリエンスによっては、話者が変わるたびにキャプションを改行してもよいでしょう。
- ユーザーと会話していない人物の声は、簡略化したり無視したりしてもかまいません。
- 視覚的な手がかりを使って、音やイベントの発生源に注意を向けさせるようにします。ただし、群衆の中にいる場合や大勢の人がいる場合は、その手がかりが混乱を招くことにならないかを確認します。誰かが注意を引こうとしている場合はユーザーに通知しますが、望まない合図が多すぎてユーザーを困惑させる事態は避ける必要があります。

推奨事項話者のアトリビューションを明らかにする。

非推奨事項誰が話しているかをユーザーに推測させる。
- ソーシャルエクスペリエンスでは、自分の音声がキャプション表示されていることを他のユーザーに認識してもらう、またはそうすることに同意してもらう必要があります(盗聴に関する法律が定められている州や場所では必須)。
- フォントや色は複数の選択肢を用意し、テキストサイズについても3種類以上の設定を提供します(デフォルトサイズの50%、75%、100%、150%、200%)。その際、画面サイズ(つまりFOV)の10%をベースラインとします。行の高さは適宜調整します。
- キャプションとその後ろの環境やアバターを視覚的に区別するために、背景ボックスを提供します。
- 表示する文字数は一行あたり最大32文字まで、文字列は最大2行までとします。
- 単語の切れ目で次の行に折り返します。単語を分断してハイフンでつなぐことは避けてください。すでにハイフンが含まれている単語は、途中で折り返してもかまいません。
豊富なデザインガイドラインを確認し、アプリユーザーにとって心地よいエクスペリエンスのデザイン方法を学びましょう。
- シーン認識: シーン認識を利用して現実のオブジェクトをキャンバスとして使います。
- パススルー: パススルーを使って仮想オブジェクトを現実空間にブレンドします。
- 空間アンカー: 現実空間に仮想オブジェクトをアンカー留めし、共有型複合現実エクスペリエンスを提供します。
- 健康と安全: 安全な複合現実エクスペリエンスの設計方法について学びます。
技術情報については、まずこちらの開発ガイドラインからご確認ください。
一般的なキャプション設計に関する追加ガイダンスについては、以下の2つの公開リソースを確認してください。